
Vibe Coding(バイブコーディング):AIがコードを書く新時代のプログラミング
AIが変えるプログラミングの未来
2024年、OpenAIの共同創業者でTeslaの元AI責任者であるAndrej Karpathy氏が、プログラミングの世界に革命的な概念を持ち込みました。
それが「Vibe Coding(バイブコーディング(AI-assisted codingやAIペアプログラミングとも呼ばれる手法))」です。
彼はOpenAIを去った後、ブログ記事「State of GPT」(2024年3月)でAIファーストな開発について詳しく述べ、その流れでVibe Codingの概念を具体化していきました。
「もはや本当のコーディングではない。
ただ見て、指示して、実行して、コピー&ペーストする。
そしてほとんどの場合、それは動作する」
この言葉に込められた意味は深く、プログラミングの本質が変わりつつあることを示しています。
Vibe Codingの核心は、開発者が詳細な実装ではなく「vibes(雰囲気・コンセプト)」に集中することです。
実際のコード生成はAIに委ね、私たちは何を作りたいかを自然言語で表現するだけです。
コードの存在を忘れる
Karpathy氏は「コードが存在することを忘れて、自分が求めているものを英語で記述する」ことを推奨しています。
プログラミング言語の文法や構文を意識する必要はもうありません。
「最新最強のプログラミング言語は英語」という彼の主張は、単なる比喩ではなく、実際の開発現場で起きている変化を表しています。
自然言語での指示がそのまま実行可能なコードに変換される時代が、もう到来しているのです。
重要なのは、AIの能力を信頼し、生成されたコードの詳細に深入りしすぎないことです。
完璧を求めるのではなく、「ほとんどの場合動作する」レベルで満足することが、Vibe Codingを成功させる鍵となります。
100%AI生成の実例
Karpathy氏自身が実践例として紹介したのが「MenuGen」というWebアプリケーションです。
このプロジェクトの驚くべき点は、コードの100%がAIによって生成されたことです。
開発者は文字通り一行もコードを書いていません。
自然言語での指示のみで完成し、実際に動作するアプリケーションとして公開されています。
これは単なる実験ではなく、実用的なアプリケーションが自然言語の指示だけで作れることを証明しています。
スタートアップの現実
Y Combinatorをはじめとする多くのアクセラレーターやVCが、AIを活用した開発を積極的に推奨しています。
実際に、多くのスタートアップがコード生成にAIを活用しており、開発速度の大幅な向上を実現しています。
具体的な統計は公開されていませんが、業界観察者によると、特にプロトタイピングや初期開発段階でAIツールを積極的に活用するスタートアップが増加傾向にあります。
これにより、アイデアから実装までの時間が劇的に短縮され、より多くの実験と改善が可能になっています。
実践のためのツール
Vibe Codingを実践するには、適切なツールが必要です。
GPT-4、Claude、Codexなどの大規模言語モデルが、この革命の中心にあります。
GitHub Copilot、Cursor、Claude Code、Replit Ghostwriterなど、AIを統合した開発ツールも次々と登場しています。
さらに、Bolt、Magic、LovableといったAIファーストの開発プラットフォームも現れ、常に進化を続けています。
日本の開発者コミュニティでも、Vibe Codingの実践が始まっています。
特定のコミュニティやブログでは、Claude CodeとCursorを組み合わせた開発手法が紹介されており、実際に活用している開発者からの報告も見られます。
WordPressからSanity CMSへの移行を従来の数ヶ月から数日に短縮した例や、音声自動生成システムの構築、非エンジニアによるメール配信システムの開発など、様々な成功事例が報告されています。
実践への第一歩
Vibe Codingを始めるのは驚くほど簡単です。
まず、作りたいものを自然言語で詳細に記述します。
技術的な用語は不要で、「ユーザーが写真をアップロードすると、AIが自動的にタグ付けして整理してくれるWebアプリを作って」といった具合です。
次に、ChatGPT、Claude、またはお好みのAIツールにこの要求を伝えます。
AIが生成したコードをそのまま実行し、エラーが出たらそのメッセージをAIに伝えて修正を依頼します。
動作確認後は、追加機能や改善点を自然言語で指示するだけです。
このプロセスを繰り返すことで、徐々に理想のアプリケーションに近づいていきます。
新しい時代の光と影
Vibe Codingは多くの利点をもたらします。
開発速度は従来の10倍以上になることもあり、非プログラマーでも機能的なアプリケーションを作成できるようになりました。
アイデアを数時間でプロトタイプに変換でき、人的コミュニケーションのストレスからも解放されます。
開発者は実装の詳細から解放され、より創造的な問題解決に集中できます。
しかし、課題も存在します。
AIが生成するコードの品質は不安定で、最適化されていない場合があります。
デバッグは困難になることがあり、セキュリティの脆弱性を見逃す可能性もあります。
大規模で複雑な分散システムへの適用は依然として困難で、AIサービスへの過度な依存も懸念されます。
ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、Kevin Roose氏の例は特に印象的です。
プログラミング経験がない彼が、Vibe Codingを使って機能的なアプリケーションを作成したことは、この手法が真に「プログラミングの民主化」を実現していることを示しています。
開発者の新しい役割
Vibe Codingの普及により、開発者の役割は大きく変化しています。
私たちは実装者から監督者へと変わり、コードを書くよりもAIの出力を評価することが主な仕事になりつつあります。
アーキテクトとしての役割はより重要になり、全体設計の質がプロジェクトの成否を左右します。
品質保証の形も変わり、AIが生成したコードのレビューが新しいスキルとして求められています。
そして何より、効果的な指示を出すプロンプトエンジニアリングが、新時代の開発者にとって最も重要なスキルの一つになっています。
未来への展望
Vibe Codingは単なる一時的なトレンドではありません。
これはソフトウェア開発の根本的なパラダイムシフトを表しています。
AIの精度が向上し続ける中、この手法はさらに洗練され、より多くの開発者や非開発者に採用されるでしょう。
ただし、Vibe Codingが従来の開発手法を完全に置き換えるものではないことも理解しておく必要があります。
プロトタイピング、小規模プロジェクト、個人ツールなどでは既に圧倒的な効果を発揮していますが、ミッションクリティカルなシステムでは依然として従来の開発手法が必要です。
私たちは今、プログラミングの歴史における大きな転換点に立っています。
「最新最強のプログラミング言語は英語」というKarpathy氏の言葉が示すように、自然言語がコードを生成する時代が現実のものとなりました。
Vibe Codingは、アイデアを持つすべての人にソフトウェア開発の扉を開きます。
今すぐ始めるために必要なのは、ChatGPT、Claude、またはお好みのAIツールへのアクセス、作りたいものの明確なビジョン、そして実験と学習への意欲だけです。
コードの存在を忘れて、あなたのアイデアを自然言語で表現してみてください。
Vibe Codingの世界へようこそ。
この記事のポイント
- ✓Vibe CodingはAIに大部分のコーディングを任せる革新的開発手法
- ✓「最新最強のプログラミング言語は英語」- 自然言語での指示が鍵
- ✓開発速度が大幅に向上し、非プログラマーでも開発可能に
- ✓適材適所での活用が重要
よくある質問
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