ステーブルコインが米国債の“最後の買い手”にーUSDT・USDCが支える米国債市場

ステーブルコインが米国債の“最後の買い手”にーUSDT・USDCが支える米国債市場

こんにちは、アールグレイです。
 

みなさん、ステーブルコインって使ってますか?

USDTとかUSDC、暗号資産の取引で必ず目にするアレです。

 

実は今、このステーブルコインが米国債市場で「最後の買い手」として超重要な役割を果たしてるって知ってました?

なんと、テザー社だけで約1,270億ドル、サークル社も約600億ドルの米国債を保有してるんです。

合計で約1,870億ドル規模(2025年8月時点)!これ、多くの国の米国債保有額を超える規模なんです。

 

今回は、ステーブルコインがどうやって米国債市場の救世主になったのか、そしてこれが私たちの未来にどんな影響を与えるのか、じっくり解説していきますね。

 

そもそも「最後の買い手」って何?なぜステーブルコインが注目されてるの?

「最後の買い手(buyer of last resort)」っていうのは、他の買い手が減っても確実に買ってくれる存在のことなんです。

 

実は今、米国債市場ってかなりヤバい状況にあるんですよね。

これまで米国債を大量に買ってくれていた中国や日本などの外国政府が、どんどん保有額を減らしているんです。

2011年には中国と日本だけで米国債の44%超を保有してたのに、2024年には中国8.9%、日本12.4%で合計約21%まで減少しちゃったんです。

外国全体の保有は2011年の約33%から2024年には約30%と緩やかに減少してますが、主要国の影響力は大きく低下してるんです。

 

FRB(米連邦準備制度理事会)も量的緩和を終了して、もう国債を買い増ししてくれません。

パウエル議長も「もはや米国債市場で買い手に回る兆しはない」って示唆してるんです。

 

そんな中で登場したのが、ステーブルコイン発行体という新たな需要源なんです。

ARKインベストは「安定的な米国債購入者だった外国勢が去った穴を、ステーブルコインが埋めつつある」って指摘してるんです。

 

ステーブルコインの米国債保有、実際どれくらいすごいの?

数字で見ると、そのインパクトの大きさがよくわかるんです。

2025年8月時点で、テザー社は約1,270億ドルの米国債を保有していて、これは世界第18位の規模で多くの国を上回るんです。

しかも、2024年単年で純額33.1億ドルもの米国債を購入していて、これはカナダやドイツを凌ぐ規模。

その年の米国債「純買い」ランキングで世界7位に相当したんです。

 

サークル社(USDC発行体)の米国債保有額は約600億ドル(2025年8月時点)で、USDCの時価総額変動に応じて220億ドルから620億ドルの間で推移してきたみたいです。

2024年には時価総額が190億ドル増加し、それに伴って準備資産として米国債保有を増やしてるんです。

 

ステーブルコイン市場全体で見ると、2025年8月時点で時価総額は約2,655億ドルに達していて、これは米国M2マネーサプライの1%超に相当するんです。

スタンダードチャータード銀行は、2028年までに市場規模が2兆ドルに達する可能性があるって予測してるみたいです。 

 

もし本当に2兆ドル規模になったら、数千億ドル単位の米国債需要が生まれることになります。

2030年頃には中国や日本に匹敵する米国債保有主体になる可能性があるんです。

すごくないですか?

 

なぜステーブルコイン発行体は米国債を買うの?そのビジネスモデルとは

ステーブルコイン発行体のビジネスモデルって、実はめちゃくちゃシンプルなんです。

ユーザーから1ドルを預かって、1USDTや1USDCを発行する。

預かったドルを米国債で運用して、その利息を収益にする。これだけなんです。

 

発行体が保有する米国債の大半は、流動性の高い短期証券なんです。

米財務省短期証券(Tビル)や満期1年未満の債券が中心で、ステーブルコイン準備金の約8割は米国財務省のTビルかレポ取引に投資されていて、総額は約2,000億ドル(米国債市場全体の2%弱)に達するみたいです。

 

テザー社もサークル社も、準備金の大部分を米短期国債と現金同等物で保有してるんです。

サークルは準備金の過半をブラックロック運用の「サークル準備金基金」で運用していて、その中身は現金および超短期の米国債と翌日物レポだけ。

テザーも約85%前後を現金・短期国債等の現金同等資産で占めてるんです。

 

この仕組みのおかげで、テザー社は2023年1~3月期だけで純利益約15億ドルを計上。

2023年通年では純利益が62億ドル規模に達したんです。

金利が高い時期には、めちゃくちゃ儲かるビジネスなんですよね。

 

米国債市場への影響:金利を押し下げる新たな力

ステーブルコイン発行体による莫大なTビル購入は、短期金利の低下要因になってるんです。

市場では「隠れた金利調整者」とも呼ばれていて、ステーブルコインの資金流入が短期金利に影響を与えているとの分析があるんです。

 

2023年の米債務上限問題後に予定された巨額のTビル追加発行(年間1兆ドル規模)に対しても、「ステーブルコイン発行体が相当部分を吸収し、金利急騰を防ぐだろう」という声がマネー・マーケット・ファンド業界から相次いだみたいです。

 

でも、リスクもあるんです。仮に市場環境の悪化や信認不安から「コインラン」(取り付け騒ぎ)が発生したら、発行体は保有する米国債を売却して現金を捻出しなければなりません。

その際には短期市場から一気に流動性が吸い上げられて、金利が急騰するリスクがあるんです。

 

実際、2023年3月には米銀SVB破綻の影響でUSDCが一時的に1ドル割れを起こし、0.87ドルまで下落。

サークル社は33億ドルのエクスポージャーがあったんですが、迅速な公的保証で沈静化したんです。

 

米国政府の思惑:ステーブルコインを「戦略的資産」として活用

興味深いことに、米国政府もステーブルコインの可能性に気づき始めてるんです。

2025年6月、スコット・ベセント財務長官は議会公聴会で「米国債担保型ステーブルコインの法整備は、基軸通貨ドルの地位を強化し、少なくとも2兆ドルの米国債需要を創出し得る」との見解を示したんです。

 

トランプ大統領(2025年当時)もデジタル資産サミットで「暗号資産は米ドル支配力の拡大に寄与するだろう」と述べていて、ステーブルコインを戦略的資産として活用する方向に米国の政策がシフトしてることが伺えるんです。

 

実際、米議会では「GENIUS法案」(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act)という画期的な法案が2025年7月に通過したんです。

この法律により、ステーブルコイン発行体には以下のような基準と義務が課されることになります。

 

発行体のライセンス制で、連邦政府公認のライセンス取得を義務付け、無許可発行を禁止。

毎月の監査報告で、準備資産の状況について外部監査を毎月実施し開示する義務。厳格な1対1資産裏付けで、発行済トークンと同額の法定通貨現金または米国債を準備金として保有(部分準備やリスク資産を禁止)。

額面での即時償還義務で、ユーザーからの交換要求に対し、常に1トークン=1ドルで直ちに現金償還する法的義務。

 

この枠組みにより、「銀行預金より安全性が高いデジタルドル」が実現すると評価する向きもあるんです。

なぜなら商業銀行のような貸出によるレバレッジを一切許さず、常時100%準備で運用されるからです。

 

将来への影響:金融システムが根本から変わる可能性

ステーブルコインの台頭は、単なる米国債需要の話じゃないんです。

金融システム全体に大きな影響を与える可能性があるんです。

 

まず、銀行セクターへの影響が大きいんです。

ステーブルコインに資金が流入するということは、裏を返せば銀行預金から資金が流出する可能性を意味します。

BofAは「ステーブルコインが選好され銀行預金から1ドル移るごとに、米国債への需要が0.90ドル増える」と試算してるんです。

 

銀行預金の流出は銀行にとっては資金調達コストの上昇圧力となるため、銀行は預金金利を引き上げるか市場から資金を調達する必要に迫られます。

その結果、民間向け融資や金融政策の波及経路に影響が及ぶ恐れがあるんです。

 

FRB関係者も、将来的にステーブルコインがマネーサプライに占める割合が大きくなれば、銀行部門外で信用創造が行われることになり、金融当局のコントロールが及びにくくなる点を懸念してるみたいです。

 

また、利息付与型ステーブルコインの登場も注目すべき動きなんです。

2024年にはパクソス社が世界初の規制下利付ステーブルコイン「USDL(パクソス・リフトドル)」を発表。

裏付け資産を米国短期国債と現金同等物に限定し、得られた利息分を日割り計算でトークン保有者の残高に自動上乗せする仕組みなんです。

 

これって、ユーザーが直接国債利息を享受できる形を目指していて、発行体が利息収入を独占する従来モデルからの大きな変化なんです。

 

私の感想:これ、本当に革命的じゃない?

正直、この話を知った時、「うわ、すごいことになってる」って思いました。

ステーブルコインって、単なる暗号資産の取引ツールだと思ってたんですが、実は米国債市場を支える巨大な存在になってたんですね。

しかも、それが意図的じゃなくて、ビジネスモデルの結果として自然にそうなってるところがすごいんです。

 

特に面白いのが、世界中の人々がステーブルコインを使うたびに、間接的に米国債を買い支えてるってこと。

アルゼンチンの人がインフレ対策でUSDTを買ったり、ナイジェリアの人が国際送金でUSDCを使ったりするたびに、その資金が米国債市場に流れ込んでるんです。

 

これって、ドルの基軸通貨としての地位を強化する「トロイの木馬」みたいなものですよね。

暗号資産という形で世界中にドルが浸透していき、その裏で米国債需要が生まれる。アメリカにとっては、めちゃくちゃ都合のいい仕組みじゃないですか。

 

でも同時に、リスクも感じるんです。

もしステーブルコインへの信頼が崩れたら、一気に米国債の売り圧力が発生する可能性がある。

2023年のUSDCの一時的なペグ外れみたいなことが大規模に起きたら、金融市場は大混乱になるかもしれません。

 

とはいえ、GENIUS法案みたいな規制整備が進めば、ステーブルコインはもっと安全で信頼できる存在になっていくはず。

将来的には、銀行預金よりも安全な「デジタルドル」として、私たちの生活に欠かせない存在になるかもしれませんね。

 

まとめ:ステーブルコインが作る新しい金融の形

ステーブルコインは、もはや単なる暗号資産じゃないんです。

米国債市場の「最後の買い手」として、金融システムの重要な一部になってるんです。

 

  • テザーとサークルで合計約1,870億ドル規模の米国債を保有(2025年8月時点)。
  • 2028年までに市場規模が2兆ドルに達すれば、中国や日本に匹敵する米国債保有主体になる可能性。
  • 中国と日本が米国債保有シェアを44%超から約21%に減らす中、ステーブルコインが新たな需要源として台頭。
  • 米国政府も「戦略的資産」として活用する方向にシフト。GENIUS法案により、銀行預金より安全な「デジタルドル」が実現する可能性。

 

これからの金融システムは、伝統的な銀行とステーブルコインが共存する、ハイブリッドな形になっていくのかもしれません。

 

皆さんも、ステーブルコインを使う時は、その裏で米国債市場を支えてるって意識してみると、また違った見方ができるかもしれませんよ。

この記事のポイント

  • テザーとサークルで合計約1,870億ドル規模の米国債を保有(2025年8月時点)
  • 中国と日本の米国債保有シェアが44%超→約21%に減少(2011年→2024年)
  • 2024年にテザーは331億ドルの米国債を純買い、世界7位の購入主体に
  • ステーブルコイン準備金の約8割(2,000億ドル)が米短期国債やレポ取引に投資
  • ステーブルコイン市場規模は2,655億ドル(2025年8月)、M2マネーサプライの1%超
  • 2028年までに市場規模2兆ドルに達すれば、中国や日本に匹敵する保有主体になる可能性
  • GENIUS法案(2025年7月通過)により連邦レベルでの規制整備が進む
  • テザー社は2023年に62億ドルの純利益を計上、主に米国債利息収入による

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