
ZKsync Airbenderとは?世界最速のゼロ知識証明システムを初心者向けに解説
こんにちは、アールグレイです。
今日は、2025年6月にZKsyncが発表した革新的な技術「ZKsync Airbender」について、初心者の方にも分かりやすく解説していきたいと思います。
「Airbender」って聞くと「エアドロップ」と勘違いしそうですよね?実は私も最初そう思いました(笑)。
でも、これは全く違うものなんです。
Airbenderは、ブロックチェーンの世界を大きく変える可能性を秘めた、超高速なゼロ知識証明システムなんです。
そもそもZKsyncって何?初心者向け基礎知識
まず、ZKsync Airbenderを理解する前に、ZKsyncについて簡単に説明しますね。
ZKsyncは、イーサリアムの「レイヤー2」と呼ばれるスケーリングソリューションの一つです。
イーサリアムは素晴らしいブロックチェーンですが、利用者が増えると手数料(ガス代)が高くなったり、処理が遅くなったりする問題があります。
これを解決するのがレイヤー2で、イーサリアムの上に「高速道路」のような別のレイヤーを作って、そこで取引を処理する仕組みです。
ZKsyncは、その中でも「ゼロ知識証明(ZK証明)」という高度な暗号技術を使っているのが特徴です。
ゼロ知識証明って何?
ゼロ知識証明は、「秘密の内容を明かさずに、その秘密を知っていることを証明する」技術です。
例えば、あなたが「私は日本人です」ということを証明したいとき、通常ならパスポートを見せる必要がありますよね。
でも、パスポートには名前や生年月日など、余計な個人情報も載っています。
ゼロ知識証明を使えば、「日本人である」という事実だけを数学的に証明でき、他の個人情報は一切明かさずに済むんです。
これをブロックチェーンに応用することで、取引の正当性を証明しながら、プライバシーを守ることができます。
ZKsync Airbenderとは:世界最速のゼロ知識証明システム
さて、本題のZKsync Airbenderです。これは2025年6月24日に発表された、世界最速のオープンソースRISC-V zkVM(ゼロ知識仮想マシン)です。
「えっ、何それ?」って思いますよね。簡単に言うと、ブロックチェーン上の取引や計算が正しいことを、めちゃくちゃ速く証明できるシステムなんです。
Airbenderのすごさを数字で見てみよう
Airbenderの性能は本当に驚異的です。
まず、イーサリアムのブロック全体の証明を、たった1台のGPU(グラフィックカード)で35秒以内に完了できるんです。
これまでは、同じことをするのに50〜160台ものGPUが必要でした。
つまり、必要なハードウェアが100分の1以下になったということです!
さらに、取引1件あたりの証明コストは約0.0001ドル(約0.015円)まで下がりました。これは従来の10分の1以下のコストです。
なぜ「Airbender」という名前なの?
技術的な話になりますが、この証明システムは「AIR(Arithmetic Intermediate Representation)制約」という技術を使っています。
そして、この制約を巧みに操る(bend)ことから、「Airbender」と名付けられました。
アニメ「アバター」のエアベンダーとは関係ありません(笑)。
Airbenderが実現する3つの革新
1. 誰でも証明者になれる「在宅証明」の時代へ
これまで、ゼロ知識証明を生成するには、大企業や専門業者が持つような高価なサーバーが必要でした。
でも、Airbenderなら一般的なゲーミングPCでも証明生成ができるようになります。
これは「在宅証明(at-home proving)」と呼ばれ、個人でもネットワークの検証に参加できるようになることを意味します。
ビットコインのマイニングが個人でも参加できるように、ZKsyncの証明生成も民主化されるんです。
2. リアルタイムに近い取引確定
Airbenderの高速性により、取引がほぼリアルタイムで確定されるようになります。ZKsyncのレイヤー2ブロックなら1秒未満で証明が完了します。
これは何を意味するかというと、例えばオンラインゲームでアイテムを売買したり、SNSで「いいね」を押したりする操作が、従来のWebサービスと同じくらいスムーズにブロックチェーン上でできるようになるということです。
3. 超低コストでマイクロペイメントが可能に
取引コストが0.0001ドルまで下がることで、これまで経済的に成り立たなかった超小額決済(マイクロペイメント)が可能になります。
例えば、記事を1文字読むごとに0.001円支払う、動画を1秒見るごとに0.01円支払う、といった新しいビジネスモデルが実現できるようになります。
Airbenderが変える未来:具体的な活用例
1. 機関投資家向けの高速金融取引
ドイツ銀行と協力している「Memento」プロジェクトでは、Airbenderを使って機関投資家向けの高速でプライベートな金融取引を実現しようとしています。
証券取引や資産管理が、従来の金融システムよりも透明で効率的に行えるようになります。
2. 次世代ゲームとエンターテイメント
「Sophon」というゲーム特化型のブロックチェーンでは、Airbenderの低コストと高速性を活かして、完全にブロックチェーン上で動作するゲームを開発しています。
アイテムの所有権、ゲーム内通貨、プレイヤーの行動履歴などがすべて透明に記録されます。
3. 分散型ソーシャルメディア
「Lens Protocol」は、Airbenderを使って分散型のソーシャルメディアを構築しています。投稿、いいね、フォローなどの操作が低コストで処理できるため、中央集権的なプラットフォームに依存しないSNSが実現可能になります。
技術的な仕組み(少し難しい話)
Airbenderの技術的な特徴を、できるだけ分かりやすく説明してみます。
RISC-V仮想マシンの採用
AirbenderはRISC-Vという標準的な命令セットを採用しています。
これは、コンピュータの世界で使われている共通言語のようなもので、様々なプログラムをこの形式に変換して証明できます。
つまり、イーサリアムのスマートコントラクトだけでなく、他の言語で書かれたプログラムも証明できるという汎用性があります。
CPU+GPUのハイブリッド処理
Airbenderは、CPUとGPUを賢く使い分けています。プログラムの実行をシミュレートする部分はCPUが担当し、大量の並列計算が必要な証明生成の部分はGPUが担当します。
この役割分担により、効率的な処理が可能になっています。
6段階の証明パイプライン
証明生成は6つの段階に分かれていて、それぞれが特定の役割を持っています。
これは工場の生産ラインのようなもので、各工程が最適化されることで全体の効率が上がります。
ZKsyncのElastic Network構想とAirbender
ZKsyncは「Elastic Network」という壮大な構想を持っています。
これは、複数のブロックチェーンが相互に接続され、一つの巨大なネットワークとして機能するビジョンです。
Airbenderは、この構想の中心的な役割を果たします。
すべてのチェーンがAirbenderという共通の証明システムを使うことで、チェーン間の通信や資産の移動が安全かつ高速に行えるようになります。
これは、現在のインターネットで異なるウェブサイト間を自由に行き来できるのと同じように、異なるブロックチェーン間を自由に行き来できる未来を意味しています。
まとめ:Airbenderがもたらす革命
ZKsync Airbenderは、単なる技術的な改良ではなく、ブロックチェーンの可能性を大きく広げる革新的な技術です。
高速で低コスト、そして誰でも参加できる証明システムにより、これまで想像もできなかったような新しいアプリケーションが生まれてくるでしょう。
金融、ゲーム、ソーシャルメディア、IoTなど、あらゆる分野でブロックチェーンの活用が加速することが期待されています。
今後、ZKsyncとAirbenderがどのように発展していくのか、とても楽しみですね!
この記事のポイント
- ✓ZKsync AirbenderはエアドロップではなくMatter Labsが開発した世界最速のゼロ知識証明システム(zkVM)
- ✓単一のGPUで35秒以内にイーサリアムブロックの証明が可能(従来は50-160台のGPUが必要)
- ✓証明コストを1取引あたり0.0001ドル(約0.015円)まで削減、従来の10分の1以下
- ✓一般的なゲーミングPCでも証明生成が可能になり「在宅証明」の時代が到来
- ✓RISC-V仮想マシンを採用し、EVMだけでなく様々なプログラムの証明が可能
- ✓ZKsyncのElastic Network構想の中核技術として複数チェーンの相互運用を実現
- ✓オープンソースで公開されており、誰でも技術を利用・貢献可能
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